技術情報
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鍛造用語集
鍛造用語集【あ】
圧延鋼材 | 金属素材を高温又は常温で圧延機によって、棒鋼、線材、形鋼、鋼板、鋼帯、平鋼などの形状に圧延加工した鋼材。ロールの溝の寸法、形状を変えることにより、所要の寸法、形状が成形できる。鍛造に使用する鋼材は圧延されたものが多い。 |
亜熱間鍛造法 | 熱間鍛造の温度域で比較的低い温度(例えば1000℃以下)で行う鍛造。 |
アプセッタ鍛造 | 材料のグリップ機構と据込み機構を持ったアプセッタにより、棒材、パイプ材を軸方向に圧縮する成形法である。長い軸の端面あるいは中間部に膨らみのある鍛造品や、袋穴、貫通穴の成形、パイプ材の据込みに適している。据込み鍛造。 |
荒地型 | 荒地を作る金型。荒地形状は、原則的には仕上げ形状に近いものであるが、仕上げ形状より高さが高く、幅は狭いのが普通である。一般的には、仕上げ形状より抜け勾(こう)配を大きくし、隅の丸みを大きく取った形状が多い。ハンマ型では荒地型でのインプレッションは仕上げ型に近い形状にする。また普通、プレス型では上下型にばりだまりを付けるが、ハンマ型ではばりだまりを設けない。 |
アンビル | 鍛造ハンマの打撃を効果的にするためににラム質量に対して15~20倍の質量を持たせた台金のことをいう。アンビルの水平度は、普通2/1000の狂いが限度でそれ以上になったときには削り直し等が行われる。 |
インゴット | 転炉、電気炉などの製鋼炉で精錬した溶鋼を、鋳型に流して凝固させたもの。鋳型には、その後の圧延・鍛造などに都合のよいように、丸形、四角形、六角形、八角形など、各種の形がある。鋼の場合には鋼塊ともいい、脱酸法によってキルド鋼塊やリムド鋼塊などがある。 |
インパクター | 横形空気圧式相打ち鍛造機としてChambersburg社(アメリカ)によって開発された機械で、左右から対向ピストンによって打撃を加える方式の水平鍛造機である。ラムの打撃速度は通常のドロッブハンマの1.5倍になり、1打撃で成形を終える。 |
いんろう | 型ずれを防止するために、対をなす金型のそれぞれに設けられた凹凸。一般に、丸印籠(いんろう)、溝いんろう及びガイドピン式いんろうが多用されている。それぞれの目的と品物の形状により、角いんろう、左右いんろう(ガイドレール式)、前後いんろう、開放式、密閉式などの呼び名がある。場合によっては、これらが2つ組み合わせられて用いられる。 |
ウェブ | 鍛造品の型割面に平行で、比較的薄い部位をいい、一般的にリブやボス間のつなぎになる。ウェブには、横方向に材料が自由に流れる開放型ウェブと、材料の流れが隣接するリブによって妨げられる閉鎖型ウエプがある。ウェブの幅(W)/厚さ(T)の比が大きいと高い鍛造圧力が必要となる。閉鎖型ウェブでは、隅丸み半径部に鍛造きずが発生しやすい。また、ウェブの厚さ(T)とリブの厚さ(B)の関係がB>Tのときは肉引けを生ずるので、B<Tにするのが望ましい。 |
内ばり | 型鍛造で製品の内側(中心部)に発生するばり。鍛造においては最終形状に穴をあけることはできないが、最終的には、貫通穴の必要な鍛造品の場合、型打ち時においてはウエプ状の余肉を残した下穴を成形し、後の工程としてばり抜きでウェブ状の余肉が打ち抜かれる。このウェブ状の余肉を内ばり又は中ばりという。 |
上型 | プレス機械のスライド若しくはハンマのラムに取り付けられる金型で、上下に作動し、相手の下型との間で加工を行う金型。 |
エアハンマー | 圧縮空気を利用してハンマのピストンを上下に運動させるハンマの総称。直結電動機により発生した空気圧を、直接シリンダ内に送給して打撃を加える仕組みのものもある。 |
エジェクタピン | 鍛造品を金型から突き出すためのピン。ノックアウトピン。 |
S曲線 | 鋼のA₁変態点以下の各温度における過冷オ—ステナイトの変態状況を示す曲線。縦軸に変態温度、横軸に保持時間(対数目盛)をとって、その結果を図示するものでその曲線の形状からS曲線といわれる。S曲線は、TTT曲線ともいわれ、鋼の恒温変態状況を表している。 |
応力 | 物体が外力を受けたとき、荷重の大きさに応じて物体内に生ずる抵抗力、内力。物体内で任意の面の両側の抵抗力は、面を介して互に作用し合っていると考えられて、その大きさは単位面積当りのカで表される。面に垂直な成分(垂直引張応力ないしは圧縮応力)と面に沿う成分(剪断応力)とに分けて考えることができる。 |
応力集中 | 穴、切込み、段など特殊形状を有する物体内に生ずる応力が、表面輪郭の方向が急変する表面附近で、特に大きな応力が生じる現象。物体内に剛性の異なる組織(例えばセメンタイトとフェライト)が混在するときも、その境界に応力集中を生じる。最大応力と見掛けの平均応力との比は応力集中係数と呼ばれる。 |
応力除去焼なまし | ワーク内の残留応力を取り除くために行う焼なまし処理。加熱温度は、鋼では450~650℃、銅合金では180~300℃、鋳鉄では500℃前後である。残留応力は塑性加工だけでなく、切削、鋳造、溶接、焼入れなど種々の加工・処理において、金属中に導入された不均一なひずみによって生じる。ひずみ取り焼なまし。 |
オーステナイト | 鋼をA₁変態点(723℃)以上に加熱したとき得られる組織。結晶構造は面心立方晶系であり、炭素を比較的多く固溶している。γ鉄ともいわれる。なお、Mn、Niなどを多く固溶した鋼は、室温でもオーステナイトとなる。 |
オーステンパ | 焼入れ温度に加熱された鋼材を、Ms点以上の高温冷却媒体に焼入れし、過冷オーステナイトを恒温でべイナイトに変化させる処理。1回の冷却操作のみで、焼入焼戻し操作をしたものと同様の結果を得ようとするもので、オーステナイトからマルテンサイトを経ないで焼戻しをしたと同様な組織を直接得ることから、オーステンパという。 |
オースフォーミング | 準安定オーステナイトを恒温変態曲線温度まで急冷し、この温度で塑性変形を与えてから焼入れし、マンテンサイト変態を起こさせた後、焼戻しを行う加工熱処理。効果として、引張強さと降伏点が高くなり、顕微鏡組織は微細となる。また100%マルテンサイト組織を得ることができる。 |
置割れ | 鍛造後又は焼入れ若しくは焼入焼戻しした鍛造品を、大気中に放置した状態で生じた割れ。自然割れ。 |
押出し鍛造 | 金型内に挿入した材料を加圧し、金型の穴又はすき間から、材料の一部を押出しすることによって成形する方法。一般には押出しと呼ぶが、長尺材を作る一次押出しと区別する際には押出し鍛造という。押出しは、材料の加工方向に対する材料の流出方向によって、前方押出し鍛造、後方押出し鍛造、側方押出し鍛造に区別され、これらの幾つかが同時に行われる作業を組合せ押出し鍛造という。また、鍛造品の形状によって、中実軸押出し鍛造、中空軸押出し鍛造、容器押出し鍛造等に区別される。単に押出しともいう。 |
温・熱間鍛造 | 材料を加熱して行う鍛造の温間鍛造と熱間鍛造を意味する造語。一般には、温間鍛造は室温より高く再結晶温度より低い温度範囲で行う鍛造。熱間鍛造は再結晶温度より高い温度で行う鍛造。 |